「いよいよ出漁します」。はずんだ声で、宮城県石巻市にある鈴木漁業の鈴木廣志さんが電話をかけてきた。鈴木さんは沖合底引き網船「龍神丸」の船主で、宮城県の沖合底引き網漁協の組合長でもある。東日本大震災では、津波で事務所を失ったものの、船は沖に出て無事だった。組合の13隻も難を逃れ、出漁のサインを待っていたのだ。