岸田首相は、政治家であると同時に、稀代の演出家かもしれない。歴史に残る劇場型G7広島サミット(主要7カ国首脳会議)を終えての率直な感想だ。 1975年にフランスのランブイエで第1回が開催された主要国の首脳によるサミット。今回の広島サミットで49回目を迎える(緊急時開催を除く)。 サミットに向けては、シェルパと言われる外交当局責任者(日本では経済担当の外務審議官)が事前に会談や共同声明の内容を精緻に詰める。そのためサプライズが多いわけではない。いや、外交当局からすれば、サプライズがあると困るというのが本音だろう。 今回は、そのような外交的な慣行を大きく裏切った。もちろん、首相の意向を受けた外交当