私たちは常に社会とのギャップを感じ、ストレスを溜めながら生きている。個人という存在が社会システムとどうしても噛み合わないからだ。 そうした社会システムを生み出したのは、ヨーロッパの啓蒙主義で幕を開けた近代である。欲望を無慈悲に抑圧する近代の社会秩序は、内包する矛盾によって様々な病理を生み出すことになった。 個人の欲望を解放しようとする模索もあった。ロマン主義やシュールレアリスムなどの芸術運動、あるいはゲーテ、ニーチェ、カフカ、ランボー、ボードレールといった思想家、作家たちはそういった脈絡の中で登場した。 だがそれにもかかわらず、矛盾は不可避的に増幅し第2次世界大戦という破局を招いてしまった。