2月17日に開幕したJリーグは、今年(2023年シーズン)で発足から30周年を迎えている。サッカーに関係するメディアは、例によって各チームの戦力分析や順位予想を展開しているが、そちらは専門家の皆さんにお任せしよう。筆者は、サッカーの専門家ではなく、城や戦国合戦を専門とする歴史家だからだ。 その筆者が本稿で試みるのは、地政学的観点から考えたJクラブの戦略論である。今回、事例として取り上げるのは川崎フロンターレとサガン鳥栖(とす)だが、この両クラブは、Jリーグ発足以来のいわゆる「オリジナル10」ではない後発組、という点で共通している。  川崎フロンターレは2017年にリーグ初優勝を遂げて以来、毎年