令和5年(2023)は、幕末維新史の中でも未来攘夷と即時攘夷の両派が激突した、まさに最も疾風怒濤の時代と言える文久3年(1863)から、ちょうど160年の節目に当たっている。ところで、文久3年に限らず、幕末動乱の時期を代表する藩として、読者の皆さんはどの藩を挙げられるだろうか。長州藩、佐賀藩、土佐藩、彦根藩、越前藩、会津藩、そして薩摩藩など、おそらく枚挙にいとまがなく、一つに絞りきることは難しいのではないかと察している。 その中でも、やはり薩摩藩の存在は際だったものであろう。薩摩藩は常に幕末維新史の中心に居続けており、最後には幕府を倒す最も重要な役割を果たしている。ではなぜ、250以上もあった