「今日この平和があるのもすべては大御所、東照大権現さまのおかげ。まさに天が私たちに授けてくださった神の君でございます」 そんなナレーションから、NHK大河ドラマ『どうする家康』がスタートした。続くナレーションでは「我らが神の君は、いついかなる時も勇敢であらせられました」としながら、戦場から行方をくらませる、徳川家康の情けない姿が映し出されている。 ナレーションをいわゆる“フリ”にしながら、正反対の家康の実像を描こうというわけだが、「東照大権現」という言葉が耳慣れない視聴者もいたかもしれない。東照大権現とは、家康が亡くなったあとに贈られた神号のこと。「神の君」とあるように、家康は死後に神として崇め