冬の電力危機が迫る中で、電力業界に異常事態が相次いでいる。大手電力会社が3割から4割という大幅な規制料金の値上げを発表する一方で、新電力の2割が事業停止に追い込まれ、政府による救済を求めている。 他方、公正取引委員会は、カルテルを結んでいたとして中国電力など3社に合計約1000億円の課徴金の納付を命じた。他のエリアの電力会社との価格競争を制限したという理由である。電力自由化が、誤った制度設計による過当競争で自壊したのだ。 電力自由化が始まったのは、1980年代に英米で通信自由化が成功し、市内回線と分離された長距離回線に新規参入が増えたことがきっかけだ。電力自由化もイギリスのサッチャー首相が始め