巷間で期待される、そして政治サイドが志向する日本経済の「好循環」とは、単純化すれば「賃金上昇→消費増加→物価上昇→賃金上昇→……」という三角形の経路であろう。 賃金が上昇すれば消費が増加し、消費が増加すれば物価が上昇、企業収益が改善し、それがまた賃金上昇につながるという考え方だ。 アベノミクスは、まさにこの「好循環」を引き起こすために打ち出された。三角形でいえば、賃金が起点として期待された。 アベノミクス第1の矢の「大胆な金融政策」により円安が進行し、企業収益が拡大、企業がその恩恵を賃上げにより家計に還元する、いわゆる「トリクルダウン」である。 旧・安倍政権は「経済の好循環に向けた政労使会議(