ずっと自分について回る言葉だったにもかかわらず、ウィリアム・ベバリッジは「福祉国家」というフレーズが好きになれなかった。 80年前の今月、第2次世界大戦後の英国が福祉国家になるための青写真を公表したベバリッジだが、この言葉は保守党、自由党、そして最後に労働党の政治家たちが50年かけて進めた改革の集大成ではなく、「素晴らしい新世界」のイメージを想起させると考えたからだ。 新聞の風刺画家はそんな異議には耳を貸さなかった。 ある漫画家はスーツ姿のベバリッジを湯気の立つマグカップに見立て、1942年当時の英国兵がそれを掲げて「素晴らしい新世界に乾杯!」と喜ぶ姿を描いてみせた。 窮乏、無知、ホームレス、