ロシア・ウクライナ戦争開始から8カ月弱、日本の教育現場での政治・安全保障教育は戦争前と大きく変わることはなかった。侵略直後こそロシアによる戦略を学校教育においてどう扱うのかと議論にはなったが、蓋を開けてみれば、例えば、鳥取県では鳥取市内の中学校・高校18校中1校しかロシア・ウクライナ戦争を授業で扱っていないという。「教育者が政治問題に触れることを恐れて、結局教育の中に正しい政治的判断をする力が養われないような、そういう無気力な教育になってしまう虞れがある」。1954年、教育二法(詳細は後述)に関する法案審議での鵜飼信成(憲法学者、東大教授)が表明した危惧が、改めて現実のものとなっている。 日本