吉田松陰が安政3年(1856)から主宰した塾と言えば、松下村塾であることは周知のことであろう。松陰自身が教えた人数は諸説あるものの、100名足らずと言われている。その塾生の中で、名前を挙げるとなると、読者の皆さんは誰を選ばれるだろうか。 松下村塾の四天王と言えば、久坂玄瑞、高杉晋作、吉田稔麿、入江九一であるが、その他、伊藤博文、山県有朋、品川弥二郎、山田顕義、野村靖、そして今回取り上げる前原一誠らが有名な塾生である。ちなみに、四天王は全員が明治まで存命することができなかった。 松陰は前原を、「八十郎(一誠)は勇あり、智あり。誠実人に過ぐ」と評している。松陰は、前原には勇気があり、智略があり、誠