8月30日、旧ソ連邦最後の最高指導者、ミハイル・ゴルバチョフ元大統領が、91歳で死去した。ソ連に自由の風を吹き込み、東西冷戦を終結させた功績は大きい。しかし、ソ連邦を解体に導き、ロシアを弱体化させたことには、ロシア国内では批判が強い。とりわけ、「ロシアの失われた領土と栄光」を回復すべく、ウクライナに侵攻したプーチン大統領の治政下の今日、否定的評価が高まっている。 ゴルバチョフは、1985年3月、54歳の若さでソ連共産党書記長に就任した。当時のソ連経済は、全体主義計画経済が上手く行かず、破綻の危機に瀕していた。労働の現場では、人々はノルマを達成すればよいと考えて、生産性を上げるインセンティブを持