北朝鮮住民は、統一教会を南北統一のための「統一宗教」と認識している。「統一」という単語が与える印象のためである。 ただ、統一教会の中身については、北朝鮮最高指導部と既得権層は理解しているが、一般住民にはほとんど知られていない。30年にわたって進められた、統一教会の対北食糧支援やベビーフード支援、教育支援、山林復元のための苗木支援などについて、北朝鮮政府は一般住民には知らせなかったからである。 それについて、筆者も所属していた保安部の幹部は、「統一教会が進めた対北事業は一般住民を相手にしたものというより、北朝鮮最高指導部の要求によって進められた事業が多い。北朝鮮社会の特性上、そうするしかなかった