前回の寄稿「実質GDPはコロナ前に回復?メディアの大本営発表に惑わされてはならない」では、交易損失の拡大を背景とする実質国内総所得(GDI)の悪化に目を向けるべきとの議論を展開した。今回は、類似の論点を含む企業物価指数(PPI)を用いて、今の日本経済が抱える問題点を指摘してきたい。 8月10日に公表された7月のPPIは、前月比+0.4%、前年比+8.6%と引き続き高い伸びが確認された。電力・都市ガス・水道、飲食料品など資源高を背景に価格転嫁が進む分野が全体を押し上げている。寄与度で見た場合、PPIの前月比+0.4%のうち+0.39%ポイントが電力・都市ガス・水道である。これは7月以降、夏季電力