江戸時代、諸国の大名は大勢の家臣たちを率いて、定期的に国元と江戸屋敷とを往復すえる義務を負っていました。いわゆる「参勤交代」です。 この参勤交代について、大名の財力を消耗させるための施策だという人がいますが、まったく的外れな邪推です。たしかに参勤交代は、各藩にとって大きな財政負担となりました。でも、ある施策が結果として財政負担になるのと、最初から財政負担を目的としていたのとでは、話がまったく別です。「参勤交代は大名の財力を消耗させるため」という評価は、目的と結果を取り違えた言説でしかありません。なぜなら、参勤交代とは何かを目的とした施策などではなく、武家政権の基本原理みたいなものだからです。