昭和30年代中盤から昭和40年代にかけて、全国を走る主要な列車には食堂車が連結されていて、長距離を走る列車のシンボル的存在となっていた。提供されるメニューは限られたものであったが、窓の外を流れる見知らぬ土地の風景を眺めながらの食事には、他の交通機関では味わうことのできない、鉄道旅行の楽しさがあった。 そんな食堂車も、時代が2000(平成12)年を迎える頃には、ほとんどすべてが姿を消してしまった。利用客の回転が悪く、採算性の乏しい食堂車は、鉄道事業者にとって、悩みの種となっていたことも事実だった。 けれども、日本のほとんどの列車から食堂車が姿を消してしまうと、今度はこれを懐かしみ、いま一度列車の