世界的なインフレが話題になり、注目されている資産があります。金です。世界の中央銀行や公的機関は、外貨準備資産として金の保有量を積み増してきました。背景には、大規模な金融緩和で基軸通貨である米ドルの供給量が膨らみ続けたことも大きな要因として挙げられるでしょう。 では日本の金の保有動向はどうなっているのでしょうか。 20世紀以降の統計を振り返ると、日本の公的金準備量は第一次大戦を挟んで急増し、1925年には866トンに拡大しました(図1)。ところが、その後の世界恐慌の影響と、戦争、そして敗戦で全てを失います。1950年にはわずか6トンにまで減少しました。 戦後、経済復興が始まると再び盛り返します。