きっかけは、私が所属する浄土宗が、「零戦を寄贈していた」という事実を知ったときです。「不殺生を最も重要視する仏教が、人殺しを目的とする兵器を贈る矛盾って、どういうことか?」と。しかし、修行中にそんなことは教えてくれませんし、一般向けの書物もほとんどない。暗部を含めて、宗教の本当の姿を知りたいと思い続け、本格的に取材を開始したのが3年前のことでした。 太平洋戦争が激化した後は、社会の混乱と物資統制の影響で紙の資料が激減します。それを補うために、各地の寺院を回って住職と対話し、金属不足のため大仏や梵鐘を供出した資料なども現場で集めて回りました。 その結果、神仏分離令を拡大解釈した為政者や大衆によっ