今回は、頼朝の昇進について考えてみましょう。 頼朝は、平家討伐の功により正二位という高い位を与えられました。さらに1190年(建久元)、はじめて自ら大軍を率いて上洛すると、権大納言(ごんのだいなごん)と右近衛大将(うこのえたいしょう)に任じられます。 近衛府(このえふ)という役所は、平安時代後期にはすっかり有名無実化してはいましたが、もともとは天皇を守る親衛隊ですから、右近衛大将は武家の棟梁にふさわしい官職といえます。でも、このときの任官は、それ以上に大きな意味をもつことになりました。 というのも、平安時代の貴族社会では、三位以上の位をもつ人が公卿(くぎょう)と呼ばれ、トップセレブを構成します