恭平は会長を退任する決意を固めた。父親が創業した会社を継いで40年以上の年月が経過していた。おかげさまで会社は順調に成長してきた。振り返れば未熟さゆえ、そして劣等生ゆえに、チャンスをつかむことに必死だったのかもしれない。人生とは挑戦し続けること。老境に入った自分自身への戒めでもあり、後輩たちに贈る言葉でもある。