「にいちゃん、いい子おるよ」という遣り手婆の呼び込みと、赤絨毯の上がり框(かまち)に座った女性の嬌声が響く飛田新地の片隅に、往事の雰囲気を伝える廃屋が遺されている。「満すみ」である。錆び付いたシャッターを開ければ、売春防止法の施行前、「飛田遊廓」と呼ばれた時の痕跡が至るところに遺されている。