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テクノロジー
2018.02.26

ブロックチェーンが秘めるものすごいポテンシャル
暗号通貨だけではないブロックチェーンの活用事例その1

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暗号通貨とりわけビットコイン市場が加熱している。2017年の12月にはビットコイン及びほかの暗号通貨も軒並み高騰し、1年で20倍になった! と盛り上がった。本稿執筆時点ではそこから約40%下がり、暗号通貨界隈だけではなく投資界隈もざわつかせているようだ。

暗号通貨そのものの価値や、未来にどれだけ需要や可能性が広がるのかはわからないが、その基盤システムである「ブロックチェーン」のポテンシャルはものすごく、既存のシステムや常識などをひっくり返す仕組みであることは断言できよう。

本稿では、そのブロックチェーンについて、すでに世界中で始まっている革命について紹介したいと思う。

暗号通貨はブロックチェーンの産物

まずは暗号通貨とブロックチェーンの関係をおさらいしよう。ここでは暗号通貨の代表例としてビットコインを取り上げる。

ブロックチェーン技術は「分散型台帳」とも言われ、オープンソースかつ、すべての取引が見える透明な台帳となっている。私たちが日常で使っている1万円札は、誰の手に渡ってどのようにして自分の手元に来たかはわからないが、その記録をすべてデジタルデータで保存しているのがブロックチェーン技術だ。

また、従来は中央組織(銀行)がお金の取引を行なっていた。中央組織が本物のお金であることを証明し、流通の管理を行なっている形だ。しかしブロックチェーン技術は分散型(非中央)。データの正しさや流通の管理は中央組織に依存せずに取引ができる。そして、すべての取引データは透明化され、不正やエラーがあればすぐに発覚するような仕組みとなっている。そのため、改ざんや不正は事実上不可能とも言われており、不正をするメリットもない。

この取引データが問題ないかをチェックし、承認するのも中央組織ではなく有志のユーザーが行なっている。でも、そんな面倒なことボランティアではやらないのはおわかりだろう。彼らが面倒なことを引き受けているのには理由があるのだ。

それは、ブロックチェーンの記録・承認を終わらせた人(組織)に報酬としてビットコインを渡しているからだ。こうした仕組みによってビットコインをはじめとした暗号通貨とブロックチェーンが成り立っている。

ブロックチェーンの利点とは?

ブロックチェーンは先に述べた通り、公開されていて中央組織(送金の場合は銀行)がない仕組み。透明で公平な取引ができるのが特徴であるため、極めて安全性が高い、と言えるのだ。1箇所でエラーが出てしまっても、これまでの取引すべてが記録され共有されているので、エラーの発見が早く、修復も可能。

また、中央組織が無いので基本的に取引手数料が発生せず、低コストで使えることもメリットと言えるだろう。世の中のあらゆる取引は仲介役により安全な取引を担保している。取引によっては孫請け、ひ孫請けなんてことも珍しくなく、仲介手数料が発生するのはある意味当たり前の仕組みである。しかし、ブロックチェーンの取引は中央組織に依存せずユーザー同士のネットワークでつながっているため、仲介手数料がかからないのだ。

それでは、ブロックチェーンにより具体的にどんなイノベーションが起きているのか、また起きようとしているのか、実例を含めて紹介しよう。

スマホと暗号通貨でビジネスに参入できる

ブロックチェーンの応用例として今一番ホットなのは、やはり暗号通貨だろう。ビットコインをはじめとした暗号通貨のメリットのひとつは、少額送金が容易なこと。従来の通貨で銀行振り込みをしようとした場合、100円近くかかる振込手数料を考えれば10円や20円の送金に使うのは馬鹿らしいだろう。

一方、暗号通貨は中央組織に依存しないので、ユーザー同士でダイレクトに送金可能。その際に送金手数料がわずかにかかるだけで済む。

これにより、例えばSNSで1投稿ごとに10円振り込まれたり、カフェでコンセントを使ってPCを充電したら、その数十円分だけを徴収したりする仕組みも容易に作れる。こういった、これまでは手数料を考えると馬鹿らしくて徴収しきれなかった決済が可能となるのだ。

また、中央組織(銀行)の営業時間を気にしなくて良いので、24時間365日、いつでも送金可能。祝日の手続きで送金処理が数日先になってしまう、なんて不便を味わったことがあると思うが、それが解決されるのだ。

海外への送金でもメリットがある。従来の通貨では海外への送金時、手数料が数千円かかることもザラなのだ(メガバンクでは約4,000円)。ここでも手数料がわずかで済む暗号通貨ならではのメリットがある。

この中央組織(銀行)を介さずに送金ができるメリットは、アフリカなど発展途上国の人々がビジネスをするのにも役立っている。日本は街中のあちこちに銀行窓口があり、おびただしい数のATMが設置されている。それだけ銀行口座を持っている人がたくさんいるということだ。こんな恵まれた状況にいると、暗号通貨のメリットを感じないかもしれない。

しかし、発展途上国の人々は、銀行口座を作れない人も多い。日本のようにハンコと身分証明書を持っていけば簡単に通帳を発行できるわけではないのだ。銀行口座がないと金銭のやりとりができず、本格的なビジネスもできない。

暗号通貨はそうした銀行口座が無い人でも、ビジネス上の金銭のやりとりを可能にする。しかも安全に、不正が無い形で、現金を介さずにスマホだけで取引が完結するのだ。事実、南アフリカのケニア、ナイジェリアでは現地人同士、また現地人と旅行者同士でビットコインをやりとりすることがある。

これまでビジネスに参加できなかった大多数の人々がインターネットと暗号通貨を使い、スマホひとつで世界に向けてビジネスができる。これはスゴイことであり、革命と感じずにはいられないだろう。

※送金手数料が安いメリットは仕組み上の話で、ビットコインに関しては2017年ごろから絶対的な取引量が増えたため、送金手数料が上がっている。

電気の売り買いもダイレクトで

我々が普段使っているエネルギーの分野でもブロックチェーン技術が活用されようとしている。

まずは「スマートグリッド」と呼ばれる送電網のデータ管理。ブロックチェーンを使った実証実験が福島で行なわれる。スマートグリッドは送電の管理システム。再生可能エネルギーなどが注目され、ソーラーや風力などの自家発電システムとともに注目を集め始めている。

日本でも2016年から電力自由化が始まり、どこから電力を買うか、を自由に選べるようになった。これにより電力の売買も活発化しそうだ。しかし、家庭によって電力消費には差があり、自家発電して余剰する家もあれば、消費するだけで余らない家もある。これらの余剰電気を不足している家庭に送れれば無駄な電力が減る、という仕組み。このようにして、電力の過不足を管理するシステムがスマートグリッドだ。

余剰電力を調整した(各家庭で電気を送りあった)記録はブロックチェーンに残るようになっている。この記録により、報酬のやり取りができるのだ。このとき、送金と同様に中央組織を経由せず、ユーザー同士がダイレクトにやり取りを行なう形となるため、電力会社に比べてコストが低く抑えられる。これまでは電力会社に電気を売るものの、買取価格と使用料金のバランスを考えるとあまりメリットを感じないケースが多かった。しかし、スマートグリッドであればコストが低く抑えられ、売電のメリットも大きくなることだろう。

欧州では、オランダ・ドイツを拠点とする送電会社のTennetが、再生エネルギー電力を消費者側で蓄電するシステムの構築に取り組んでいる。再生エネルギー事業者や太陽光蓄電池メーカーと共同で開発中だ。目的は、これまでの中央集権的な電力網から、電力消費者の家庭を軸とした分散型電力網への転換だという。

背景として、通常の電力網に再生エネルギー発電による電力を接続すると、再生エネルギー発電の電圧が変動する等の影響が生じやすくなるとのこと。そこで、ブロックチェーンを使い電力データ(取引される電力量や環境価値の管理・保持・交換)を暗号化することで、これまでは複雑すぎて管理できなかった電力を安定化させるのが目的。

この実験が成功することにより、再生エネルギーのリスクが大きく減り、電力網の安定性が高まるため、太陽光や風力発電の普及にも貢献すると考えられている。


ほかにも、ブロックチェーンはシェアリング、医療、国家システムなどでも活用されている。これらについては別稿にて紹介したい。

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