ナレンドラ・モディ首相(写真:ロイター/アフロ)

 ポストコロナ時代を迎え、電子機器サプライチェーン(供給網)の再編が加速していると米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。その中心にあるのが製造業に力を入れているインドと米アップルだという。

電子機器製造の第一線に

 アップルの主要サプライヤーである、電子機器受託製造サービス(EMS)大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業は、インドで大規模な生産拡大を計画している。

 鴻海は現在、南部タミルナドゥ州のチェンナイ近郊にある工場で、アップルのスマートフォン「iPhone」を年間600万台組み立てている。だが同社はその台数を、2024年までに2000万台に引き上げ、従業員数を3倍の10万人に増やす計画だ。同社は南部カルナタカ州で新たな生産施設を建設する計画で、そこでもiPhoneなどを製造すると関係者は話している。

 もし、EMS世界最大手である鴻海が、このような規模でiPhoneの生産を拡大するならば、それはインドが急速に電子機器製造の第一線に躍り出ることを意味するとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

アップルとモディ政権の狙い一致

 これに先立つ23年1月、ロイター通信米CNBCは、アップルがインドでの生産比率を現在の5~7%から25%に引き上げると報じた。

 アップル製品はその大半が中国の工場で生産されている。だが、同社は製造分野の地理的な中国依存を低減するため、他のアジア諸国での生産増強に力を入れている。とりわけ、インドはベトナムと並んで有力な生産移管先だとみている。