日本を代表するメガバンクの一角でありながら、副業、週休3・4日制度の実施など、大胆な人事改革を進めてきたみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほ)。2022年5月には、人事畑の経験が少ないマーケティングの専門家である秋田夏実氏がCPO(チーフピープルオフィサー)に着任したことでも話題を呼んだ。その秋田氏に入社から約1年の現在地と今後の取り組みを聞いた。(インタビュー・文/指田昌夫)

ミッションの一つは、次世代の女性をいかに引き上げていくか

――秋田さんは新卒で、日本の大手銀行に入社したと伺いました。その後、数々の企業を経験されて、2022年に再びメガバンクに戻った際の印象はどうだったのでしょうか。

秋田 夏実/みずほフィナンシャルグループ グループ執行役員 コーポレートカルチャー担当(CCuO)兼 人事グループ副グループ長(CPO)
東京大学経済学部卒業、米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。マスターカード日本地区副社長、シティバンク銀行デジタルソリューション部長などを経て、2018年にアドビ日本法人副社長に就任し、日本市場のマーケティングと広報を統括。2022年5月、みずほフィナンシャルグループ グループ執行役員 人事グループ副グループ長(CPO)に就任。同年11月、コーポレートカルチャー担当(CCuO)を兼任。3児の母として子育てと仕事の両立を実践中。

秋田夏実氏(以下、敬称略) 私が新卒で、当時「都市銀行」と呼ばれていた大手銀行に入社したときは、女性の総合職は非常に採用が少ない時代でした。銀行1社に男性は数百人入社するのに対して、女性総合職は1ケタしかいない状況でした。

 およそ30年たって、再びメガバンクに戻ってみると、当時の女性総合職は、私の知る限りほとんど残っていませんでした。あまりにもマイノリティーだったが故に、残ることができなかったのだろうと思います。それは、非常にもったいないことですし、寂しく感じました。

 その一方で、再び銀行に入って実感することは、女性の働き方について当時とは隔世の感があるということです。これは金融以外の業界でも同じだと思いますが、女性が働く環境は、この間に大きく改善されたと思います。特にみずほは、女性が非常に働きやすく、活躍しやすい環境の素地が整っていると感じました。

 私は入社してまだ1年弱ですが、その素地を生かしてさらに加速させたいと思い、働き方改革に力を入れています。同時に、私の大きなミッションの一つは、次世代の女性たちをいかに引き上げていくかだと思っています。

――入社後、具体的には、どんな取り組みをしていますか。

秋田 外部のコンサルティング会社にも協力を仰ぎ、まず役員に対して、定量、定性のあらゆる角度から「なぜ、勤務間インターバルを確保することが必要なのか」「なぜ、睡眠を7時間以上とることが大切なのか」といった働き方改革の基本を徹底して一緒に学びました。

 ここで重要なのは、実行につなげることです。「いい話を聞いた」で終わってはいけません。腹落ちした後で、自身とチームが何を実施して、何を実施しない(やめる)のかというコミットメントを宣言してもらいました。しかも、そのコミットメントを語るパネルディスカッションを動画番組として社員に発信することで、自分が宣言したことを必ず実行する誓いを立ててもらったのです。

 この宣言は、女性の働き方だけを良くするものではありません。男女問わず働き方を改善することで、結果的に女性の働く環境が底上げされ、キャリアの上での挑戦がしやすくなることを目指しています。

――まずはトップダウンの効果を狙ったと。

秋田 はい。といっても、トップだけでは駄目で、ミドル層である部店長に対しても同様のパネルディスカッションを実施しました。そして、この流れを大きなうねりとして全社の取り組みにしていくことが重要だと考えました。今年の1月からは、コンサルタントがさらに深く入って、変革の取り組みを人事もサポートする形で進めています。そこまでやらないと、7万人の組織は変わっていきません。ずっと背中を押し続けて、流れを止めないことが非常に重要だと思っています。