コロナ禍で急速にテレワークが推進され、ハイブリッドな働き方が模索されている。企業パフォーマンス向上のためには、オフィス勤務による対面コミュニケーションと柔軟性の高いテレワーク、この両者をどのようなバランスで取り入れるべきなのか。また創造性や生産性を高める働き方、今後のワークプレイスの在り方とはどのようなものか。最新の研究成果をもとに、東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏が解説する。

※本コンテンツは、2022年10月26日(水)に開催されたJBpress/JDIR主催「第3回 戦略総務フォーラム」の特別講演1「ハイブリッドワークで創造性と生産性をあげるには?」の内容を採録したものです。

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職場の総合科学「オフィス学プロジェクト」から見えるものとは

 この10年で企業の組織の在り方や働き方は大きく変化してきたが、コロナ禍ではそれがさらに急加速した。同じ職場、メンバーで定年まで勤め上げる終身雇用の時代から、さまざまなスキルを持ったメンバーが必要に応じて集まる流動的な組織に変化。同時に、テレワークの普及でオフィスに縛られない「ダイナミックなネットワーク型の組織」が出てきた。こうした変化をオフィス中心に捉えながら、あるべきマネジメントの姿を探るのが、東京大学大学院経済学研究科准教授である稲水伸行氏が主宰する「オフィス学プロジェクト」だ。

「オフィス学とは、オフィスデザインだけでなく、人的資源管理などのHRMデザイン、コミュニケーションツールなどのITデザインの三位一体でつくるワークプレイス。また組織構造やカルチャー、リーダーシップ、一人一人のエンゲージメントなどから捉えるワークスタイル。それらの全体的なデザインや組織の在り方を研究する、いわゆる『職場組織の総合科学』です」