家電から宇宙まで幅広い事業を手がける総合電機メーカーの三菱電機。さまざまな分野の課題解決に資する技術を保有する同社は、サステナブルな未来の実現に向けて知的財産を起点に社外連携を推進する「Open Technology Bank」の活動を通じて、新たな価値の共創に積極的に取り組んでいる。同社執行役員であり知的財産渉外部部長を務める宍戸由達氏に、知的財産活動の推進体制、Open Technology Bank活動の全体像、社内外連携の強化策という3つの観点から話をお聞きした。

※本コンテンツは、2022年10月25日(火)に開催されたJBpress/JDIR主催「第3回 法務・知財DXフォーラム」の特別講演2「Open Technology Bank~知的財産を起点とした社内外連携の推進~」の内容を採録したものです。

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三位一体経営として事業に資する知財活動を推進

 三菱電機には、社長直轄の「知的財産渉外部」と「知的財産センター」の2つの知財部門が存在する。知的財産渉外部の部長を務める宍戸由達氏によると、前者は特許などの知的財産権に関する係争や訴訟の戦略立案・実行、知的財産権に関わる契約の審査や交渉、商標の出願、権利化、渉外を行う。一方、後者の知的財産センターは特許や意匠の出願、権利化の推進、係争・訴訟対応などを担っているという。

 これら2つに加えて、各事業本部にも知的財産権を担当する部門が設置されており、社全体として約450人の体制で知的財産権に関する業務に対応している。宍戸氏は同社が推し進める知的財産活動の特徴として、「事業戦略・研究開発戦略と連動した知財活動の推進」と「グローバルな知財活動と国際標準化戦略」の2つを挙げる。

「当社では知的財産を将来にわたる重要な経営資源として位置づけています。そのため、事業戦略、研究開発戦略、知財・標準戦略を一体として捉え、三位一体の経営として事業に資する知財活動を推進しています。またグローバルでは知的財産活動を担当する駐在員を、ワシントン、ロサンゼルス、ロンドン、北京、バンコクに配置し、国際競争が激化する分野での権利取得の強化と国際標準化活動を積極的に展開しています」

 国内トップクラスの特許・意匠登録件数を誇り、全業種の特許資産規模ランキングで6年連続1位に輝くなど、知財活動に力を入れてきた三菱電機グループ。そんな同社は、現在、「Open Technology Bank(オープンテクノロジーバンク)」の活動に注力している。これは、技術資産の可視化・分析を切り口に社内外の連携を促し、さまざまなパートナーとの共創により新たなビジネスを開拓することを目的としたものだ。