新型コロナウイルスや地政学的リスクなど、何が起こるか予測できないVUCAの時代。働き方に加えて、働く人の価値観や環境も変わっていく中、まさに「働く場」の管理をつかさどる総務の役割も、柔軟に変化していかなくてはならない。時代の進化の先頭に立ちながら会社の未来をつくる「戦略総務」を実践するために、今取り組むべき課題は何か。『月刊総務』の前編集長を務め、総務に関する数々の著書を持つ豊田健一氏が、総務業界の最新トレンドを踏まえながら、その考え方と取り組みの要諦を語る。

※本コンテンツは、2022年10月26日(水)に開催されたJBpress/JDIR主催「第3回 戦略総務フォーラム」の基調講演「会社の未来を創る、戦略総務®とは」の内容を採録したものです。

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変化の先頭に立って、未来の働く場を実現する「戦略総務」とは?

『月刊総務』が行った「総務の仕事は正当に評価されているか」という調査では、「とても評価されている」が3%、「やや評価されている」が24%となり、総務担当者自身が「あまり評価されない」と感じていることが浮き彫りになった。これに対して、「働く場は社員が輝く舞台装置です。その働く場=舞台づくりをつかさどるのは総務であり、舞台が変われば社員も演じ方を変える。つまり、『総務が変われば、会社が変わる』ということです」と語るのは、月刊総務代表取締役社長であり戦略総務研究所所長を務める豊田健一氏だ。

 豊田氏はさらに、総務に対する評価を示すデータとして、世界最大級のビジネス特化型SNSであるLinkedInが2022年2月に30万人を対象に実施した「日本で今、最も需要の高い仕事は何か」というアンケート結果を紹介。カスタマーエンジニア、インサイドセールス、ソフトウエア営業などの花形職種と並んで、第10位に総務責任者が入ったという。

「コロナ禍では、働き方が大きく変わり、働く人の価値観も変わりました。VUCAといわれる予測がつかない時代において、総務は会社の未来を変えるインパクトのある仕事をしているという見方もあるのです。今こそ、総務自らが考え、会社を変える=『戦略総務』を目指すときだと私は考えます」

 では「戦略総務」の実現に向けて、この先、変化をどのように捉え、何を実践していけばいいのか。豊田氏は「変化はコントロールできない。できるのは変化の先頭に立つことだけである」というピーター・ドラッカーの言葉を引用したうえで、「戦略総務」の実践の3つの要諦=「自走組織」「改善DXから戦略DXへ」「意味・体験」を紹介する。