シリーズ「なぜ、CXが進まない?ものづくりDXを阻む企業に巣くう根深い問題」
■第1回 DXを目指す企業が直面する「8つの問い」とは何か?(本稿)

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 今月から「ものづくりDXを阻む企業に巣くう根深い問題」と題し、連載をスタートさせていただく。

 2021年11月より、全10回にわたり「ものづくりDX」をテーマに記事を書かせていただいた際には、実に多くの反響を頂いた。この場をお借りし、御礼申し上げたい。

 前シリーズでは、「DXとは何か?」「どのように進めたらよいか?」について、多岐にわたり、お伝えすることができたように思う。

 本シリーズは、その第2弾。より具体的に、より実践的に、製造業に携わる読者に役立つ内容をお届けしたい。

 今回の連載では、
わが国のものづくり企業が、DXを推進し、新たな商品・サービス・価値を生み、CX(コーポレートトランスフォーメーション)、つまり「企業改革」を行うには、どうしたらいいのか?

改革には、どんな問題が横たわり、それらを乗り越えるためには何が必要なのか?
について、各回テーマを設け、1つずつ問題をクリアしていくように連載をつづっていきたいと思っている。

 また、毎回、末尾に「今日からできる3つのアクション」をピックアップし、文字通り、今すぐ着手できる「アクションプラン」を提案させていただこうと思う。

 毎月、そのアクションに取り組んでもらえたなら、ひょっとしたら、数カ月後には、何かあなたの職場で変化が起こっているかもしれないし、DXや、CXに向け具体的に動き出しているかもしれない。

 そんな日の訪れを頭の片隅で描きながら、筆を進めていこうと思う。最後までお付き合いいただけたら、この上なく幸甚である。

「DX」と、「CX」が切っても切り離せない関係にある理由

 読者の中には、「DX」(デジタルトランスフォーメーション)を推進した先に、「CX」が起こると感じている方もいるかもしれない。

 何を隠そう、私もその一人だった。「DX」が「CX」をもたらし、企業のバリューアップにつながるのだ、と。

 しかし、これまで100件以上のDXプロジェクトで実績を残してきた体験から、一つの結論にたどり着いた。いわく、

「会社が変わらなければ、DXは進まない」

ということだ。

 厳密に言うと、同時進行、相乗効果、である。

「DX」を進めようとすると、実に、さまざまな障壁が立ちふさがる。

 それらについては、前回シリーズ 第2回の『ものづくりDXを阻害する「魔のデッドロック」から抜け出せ!』や、拙著『DX CX SX―挑戦するすべての企業に爆発的な成長をもたらす経営の思考法―』(クロスメディア・パブリッシング)でも、触れてきたので、ぜひ、そちらも参照いただきたい。

 ちなみに、「デッドロック」とは、互いに相手の「解除待ち」になり、膠着状態に陥ること。どこかの鍵が開けば、一気に動き出すのに、誰も自分の鍵を開けたがらず、何年もその状態が続いてしまうのだ。あなたの会社でも、部署間、あるいは個人の人間関係においても、そのようなことは起こっていないだろうか? ぜひ、自分の会社に置き換えてお読みいただきたい。

 では、一体、どのようにすれば、DXを進めていくことができるのだろう? これは、「どうすれば、会社は変わっていくのだろう?」という問いと、ほぼ同義でもある。

 その手掛かりとして、「実際にDXを推進する上で、企業側がどこでつまずくのか、どこに不安を抱え、どこで躊躇してしまうのか?」について、よく受ける質問を取り上げてみたいと思う。