(写真:ロイター/アフロ)

 アップルが開発しているとされる電気自動車(EV)「アップルカー」のプロジェクトは、野心的な完全自動運転への取り組みを縮小し、高速道路での自律走行機能のみを提供すると、米ブルームバーグが報じた。発売目標時期は従来計画から約1年延期し、2026年になるという。

「現在の技術では実現不可能」

 アップルは14年に「タイタン・プロジェクト」と呼ばれる自動運転EV開発の取り組みを始めたとされる。ブルームバーグは21年11月に、アップルがハンドルやアクセルなどのペダル類を備えず、搭乗者がリムジンのように向かい合って座る完全自動運転車を開発していると報じていた。ブルームバーグによると、このときの発売目標時期は25年だった。

 だが、今回の報道によれば、アップルはこの構想が現在の技術では実現不可能であるという現実に直面した。これによりプロジェクトは過去数カ月間行き詰まっていたという。関係者によると、アップルは現在、ハンドルとペダルを備え、高速道路での自律走行機能のみをサポートする設計へと計画を変更した。

 ドライバーが高速道路走行中に映画を見たりゲームをしたりするなど運転以外のことをできるようにする。また、市街地に近づいたり、悪天候に遭遇したりした場合は警告を出し、手動運転に切り替えられるようにする。

相次ぐ報道でApple Carの存在明らかに

 アップルは厳格な秘密主義で知られ、製品計画の報道に関してコメントしない企業だ。今回のブルームバーグの報道についても、広報担当者はコメントを控えている。ただ、ティム・クックCEO(最高経営責任者)がアップルカーを示唆したと報じられたり、韓国・現代自動車との交渉が報じられたりし、「計画は存在する」と受け止められている。

 米CNBCや米ウォール・ストリート・ジャーナルは21年2月、現代自動車の系列自動車メーカー韓国・起亜に生産委託する交渉がまとまりつつあると報じた。起亜が米ジョージア州に持つ完成車工場で24年にも生産を始め、初年度で最大10万台を生産する可能性があると、関係者は話していた。