近年の急速な環境の変化に伴い、製造業においても急速なデジタル化が求められている。その中で横河電機では、社内向けInternal DXと社外向けExternal DX推進に加え、グローバルなセキュリティモニタリング体制の確立など、セキュリティ強化に取り組んできた。本稿では、横河電機の常務執行役員デジタル戦略本部長 兼 デジタルソリューション本部DX-Platformセンター長である舩生幸宏氏が、同社の目指す姿と具体的なセキュリティ施策について語る。

※本コンテンツは、2022年8月1日(月)に開催されたJBpress/JDIR主催「第1回 サイバーセキュリティフォーラム Day1」の特別講演2「横河電機が実現する、DXとグローバルセキュリティガバナンス」の内容を採録したものです。

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OTとITをどのように融合させていくかが今後の課題

 横河電機は、工業計器・プロセス制御システムの開発・製造を行う1915年創業の老舗電機メーカーである。売上高は約4000億円、営業利益は毎年300~400億円を計上し、従業員数は全体で1万8000名弱を数える。制御システムの製造・開発を強みとしており、売上高のうち、海外の占める割合が約70%というグローバル企業だ。

 事業内容としては、液体や気体を計測するさまざまな制御システムのメジャーメントプロダクトを所有している。しかし近年は、制御システムをコントロールする専用システムの開発・製造に主軸を移してきた。さらに、COVID-19がまん延し始めた2020年以降はこうしたOT(オペレーショナルテクノロジー)のみにとどまらず、インフォメーションやデジタルといったITの分野にも注力し始めている。

 同社のOTに関する事業では、石油やガスなどのエネルギー関連の顧客が多い。対してITに関する事業では、IoTセンサーやエッジコンピューティング、シミュレーションソフトウエアなどの展開を強化しているところだ。同社のデジタル戦略を指揮する立場にある舩生氏は、このOTとITをそれぞれ別個の事業として扱うのではなく、今後どのように融合させていくかが現在の経営課題のひとつだと語る。

※端末の近くにサーバーを分散配置して、ネットワークの周縁(エッジ)部分でデータ処理を行う技術のこと。