第2回となる本稿では、スタートアップにおけるCPO(Chief Product Officer)という仕事がどのようなものなのか、日々の具体的な業務内容も交えながらお伝えしていきます。

プロダクトマネジメントは総合格闘技

 RevCommには2020年7月に入社し、プロダクトの企画に一貫して関わってきました。プロダクトに関わる顧客の課題を、技術的に実現可能な方法で解決し、ビジネスを加速させる役割を担っています。

 RevCommの最初のプロダクトである音声解析AI電話「MiiTel」は、2018年10月に提供開始しました。提供開始から約2年を経て、セールス、CS(カスタマーサクセス)などの各チームが立ち上がり、チームでの分業体制ができてきたタイミングだからこそ必要となった役割だと認識しています。その後、2021年10月にCPO(Chief Product Officer)に就任しました。

 スタートアップにおいてCPOという役割は非常に重要だと考え、日々取り組んでいます。セールス、CSからお客さまの情報、現場の情報をどれだけ解像度高く収集し、プロダクト開発の優先順位や工数を見ながら、いかに精度の高い意思決定にたどり着くかが成果の分かれ目です。

 スタートアップにおけるプロダクトマネジメントの仕事は、総合格闘技のような部分がある点が魅力です。ビジネス面だけでなく、テックやデザインの知識も求められ、リーダーシップをとって取りまとめをする動き方もあれば、自分が手を動かして「なんとかする」といった局面もあり、日々の活動の幅が非常に広いことが特徴だと思っています。

 だからこそ、全てをパーフェクトにこなすことはできないものの、課題解決に向けてエンジニアやデザイナーとともに取り組めるところや、CSと連携してお客さまの課題を深掘りしていくなど、やり方次第でチャレンジしていけるところに魅力を感じています。各チームの得意分野、専門領域に委ねる仕組みを作ることで、再現性と効率性を担保しつつ細部の意思決定の質を上げていくことが、CPOとしての役割だと思っています。

無意識のバイアス(Unconcious Bias)を排除せよ

 無意識のバイアスとは、自分自身が気付いていないものの見方や捉え方のゆがみ、偏りのことで、近年、耳にすることが多くなった言葉だと思います。例えば、女性、若年者、特定の人種などマイノリティといわれる人々に対して無意識に見せてしまう見下した態度といったものを指すことが多く、ダイバーシティの重要性を説く際に、気づきを深め、排除すべきものとして聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

 さて、私は、プロダクトマネジメントにおいて、この無意識のバイアスに気付き、排除することがプロダクトの成長に不可欠であると考えています。

 人間誰もが持っている無意識のバイアスが、時にプロダクトに関する意思決定の精度を邪魔します。お客さまがセールスやCSに要望を伝えるということは、どんな事業でも、どんなプロダクトでも日々行われていることだと思います。そうすると、その要望を受け止めたセールスやCSの担当者は、無意識ながらも自分なりに解釈した形でその要望をCPOに伝えるんです。すると、この時点でCPOには、担当者のバイアスがかかった情報が届くことになります。

 もし、要望の温度感やニュアンスを捉え違えてしまったら、本来の課題の核心を捉えることがないまま、お客さまの本質的な課題解決とは異なる方向で開発が進んでしまいます。その結果、お客さまに満足してもらえないプロダクトとなってしまうリスクが高まります。CPOは、このバイアスを可能な限り排除し、解像度高く課題を捉えることが必要不可欠であると日々感じています。