中秋節の連休に向けた中国の様子。写真:ロイター/アフロ

 中国伝統の中秋節では、家族団らんでおいしい月餅を食べながら月見を楽しむというが、今年は収蔵用デジタル月餅の登場が話題を呼んだ。一方、東京ではゲームショウが3年ぶりに対面開催され、メタバースが大いに注目を集めたのだ。

 昨年来、メタバースをはじめとする次世代インターネットWeb3.0の応用が現実味を帯びてきて、Web3.0時代の到来を告げているようだ。

 中国でも関心が高まっている。とりわけ消費分野でWeb3.0を生かしたマーケティング戦略を実施するケースが増えている。

Web3.0はWeb1.0、Web2.0とどこが違う?

 次世代インターネットと称される「Web3.0」が再び関心を集めている。明確な定義がないものの、主にブロックチェーン技術をベースに実現される分散型のインターネット世界を指している。

 従来のWeb を見てみると、Web1.0が一方的閲覧と検索を特徴とし、各種ポータルサイトが代表的企業となっていた。Web2.0はいわゆる現在のインターネットで相互的ソーシャル機能やアルゴリズムによるレコメンド機能を持ち、米国のGAFAや中国のBATHなど大手プラットフォーマーが圧倒的な優位に立っている。

 Web3.0はWeb2.0の中央集権的な構造を根本的に変えようとしている。分散型に変わり、プラットフォーマーだけでなくユーザー(データ提供者/SNS参加者)にもデータやコンテンツがもたらす利益が分配されるという。

 Web3.0の応用に関して、現時点では、デジタルヒューマン、メタバース、NFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン/所有証明書つきのデジタルデータ)、DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)が最も注目されている要素になっているようだ。

 本稿では中国におけるデジタルヒューマン、メタバースおよびNFTの活用事例を取り上げたい。