米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(写真:Alamy/アフロ)

 新型コロナ禍で世界的に供給不足に陥った半導体は、ここに来て需要減速の兆しが見えてきたと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが7月4日に報じた。背景にはパソコン販売の低迷と暗号資産(仮想通貨)の暴落があるという。

インフレ進行で購買意欲低下

 コロナ禍における在宅勤務やオンライン学習の広がりで急速に販売を伸ばしていたノートパソコンなどの電子機器は、最近の急激なインフレの進行によって、消費者の購買意欲が大きく低下した。

 ビットコインをはじめとする暗号資産の価格急落によってマイニング(採掘)向け半導体を買い漁る動きが止まった。高性能ビデオゲーム向け半導体の需要も低下した。

 自動車やデータセンター向け半導体など、一部の需要の高い分野では依然品薄状態が続くものの、消費者需要が冷え込んでいるため、米インテルや米エヌビディアなどの大手からは厳しい先行きを警戒するコメントが相次いでいる。

 インテルのデビッド・ジンズナーCFO(最高財務責任者)は2022年6月に、支出と投資を現実に則したものに調整すると述べた。インテルでは22年6月、様々な緊縮施策の一環としてパソコン向け半導体部門の新規採用を一時凍結した。

 エヌビディアは、主力2分野である暗号資産マイニングとビデオゲーム向けの半導体需要の減速に備えて、採用を抑制していると明らかにした。

 米半導体メモリーのマイクロン・テクノロジーが22年6月30日に発表した22年6~8月期の売上高見通しは市場予想を下回った。サンジェイ・メロートラCEO(最高経営責任者)は「パソコンとスマートフォンの販売が減少しており、業界の需要状況は弱まっている」と指摘した。世界的なインフレの進行が要因だと同社はみている。