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 「リテールDX講座」では、リテールDXをビジネスモデル・イノベーションと捉え、ビジネスモデルを構成する6つのブロックについて、各回1ブロックを取り上げていきます。

 第3回では、カスタマーバリュー・イノベーションを取り上げます。

 カスタマーバリュー・イノベーションとは、顧客視点に基づく、「価値の創造と提供」をどのように漸進的、かつ、破壊的に生み出していくかに焦点を当てた概念です。

 本回では、まず、伝統的小売業と小売DXに取り組む企業を比較しながら、(1)提供価値、(2)方向性、(3)店舗の役割と位置付けの違いを説明しています。次に、小売企業がカスタマーバリュー・イノベーションに取り組む際の、①価値の階層次元、②価値共創、③市場志向、④RaaSという概念を理解する必要性について説明しています。

 小売企業は、「顧客価値」の醸成を考える際、自社の提供している価値がどのような価値であるかを明確化し、「顧客接点(店舗、EC、スマホアプリ)」において、単にモノを販売する従来型の交換価値的な発想から、コトを顧客と一緒に価値共創し、顧客とのエンゲージメント、LTVを高める発想に転換していくべきなのです。

 第4回以後は、業務プロセス・イノベーション、収益フォーミュラ・イノベーション、ビジネスモデル・イノベーション、そして、こうしたイノベーションがもたらす競争優位について解説していきます。

小樽商科大学 近藤公彦
神奈川大学  中見真也