今回も、前回に続き、研究開発部門で行われている技術交流会(発表会)を魅力的に運営する姿勢と方法を取り上げる。

主催者・発表者・聴講者の良き関係

 技術発表の運営においては、主催者の意識・姿勢が重要なことを前回、紹介した。主催者は技術交流会の場に参加者を集めて(各人の時間を拘束して)場を持つことの責任の大きさを強く認識すべきである。

 また、発表者にやる気を持ってもらい、聴講者にとって面白い内容になるように努力をする必要がある。主催者は発表者に資料作成を求めるだけになりがちだが、発表者は主催者に発表資料作成の支援を求めることができる、アドバイスを求めることができる関係が望ましい。

 主催者は何度もそのような場を開催しているため、聴講者の興味の持ち方などに詳しいはずである。主催者には、発表が聴講者にとって面白く興味深い内容になるよう、支援する義務がある。

 それはすなわち、聴講者にとって内容の面白さを保証するということである。聴講者から「つまらなかった」という感想が出るのは、発表者の責任ではなく主催者の責任だと考えた方がよい。

 発表者は、美があると心すべきである。そして聴講者はきちんと話を聞いて、例えば、技術の新たな活用法をいくつか発想できなければ時間がもったいないという気持ちで参加すべきである。

 また、場に参加した人にアンケートを書いてもらうケースもあるかと思う。そのアンケートは「勉強になった/ならなかった」「面白かった/面白くなかった」などの研修受講のアンケートのようなのではなく、技術発表から気付いたことを主催者と発表者に伝える(レポートする)ものと考えた方がよい。

 下図のような関係が、主催者、発表者、聴講者の間に醸成できると、技術発表の場が、有意義なものになる。