NXHD執行役員DX推進部、サステナビリティ推進部担当兼DX推進部長の海野昭良氏

 2022年1月、日本通運は持ち株会社体制に移行し「NIPPON EXPRESSホールディングス」として新たなスタートを切った。変化の激しい物流業界にあって創業以来150年以上の歴史を持つトップカンパニーである同社が、なぜ今、持ち株会社体制に移行したのか。新たな「NXグループ」としてこれからどんな道を歩もうとしているのだろうか。同社グループにおけるDXへの取り組み、そして目指す姿を聞いた。

「グループ価値の最大化」で変化に対応する構え

 1937年に創立されて以来、日本通運として親しまれてきた同社が持ち株会社体制に移行した背景にあるのは、「NXグループ」としてグローバルでの存在感を高めていこうというグローバル戦略だ。

「創立100周年を迎える2037年には売上の5割を海外での売上にしたいという目標を掲げています」

 と執行役員DX推進部・サステナビリティ推進部担当兼DX推進部長の海野昭良氏は語る。

 持ち株会社体制に移行することによって、今後のM&Aや事業の再編が必要なときに、グループ全体でよりスピーディな対応を取れるようにしておくことが第一の狙いだ。海野氏は「これまで事業会社ごとの個別最適に重点が置かれていましたが、今後はグループとしての価値の最大化を追求していきます」と話す。

 デジタル化の進展も体制変更を取り巻く環境に大きな変化を生じさせている。GAFAに象徴されるように、デジタル化によって同社グループを取り巻くビジネス環境も大きく変化してきた。Amazonのような巨大なプラットフォーマーが物流業界に関わり、大きな影響力を持つようになった。異業種からの参入の動きも出始めている。

「こうした変化はさらに広がります。しかもデジタルの世界の変化のサイクルは短く、劇的に変化が加速していきます。当社グループとしても変化に対応できる構えをしなければなりません」と海野氏。持ち株会社体制の移行には変化への対応力の強化という側面もあるようだ。

 2022年1月には、NXグループの中核事業会社である日本通運が、デジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている企業として評価される、経済産業省が定めるDX認定制度に基づき、「DX認定事業者」の認定を取得した。