KDDI株式会社は2020年7月、新たな取り組みを発表した。その中で宣言されているのが「三位一体での改革」であり、その1つが「KDDI版ジョブ型人事制度」である。KDDI株式会社 執行役員 コーポレート統括本部 人事本部長の白岩徹氏が、この20年間ほどにわたって同社が構築してきた人事制度を、根底から見直す画期的な取り組みについて全貌を詳らかにする。

※本コンテンツは、2021年12月1日に開催されたJBpress主催「第8回 ワークスタイル改革フォーラム」の特別講演Ⅲ「次世代に向けた人事戦略『KDDI版ジョブ型人事制度 ~プロを創り、育てる~』」の内容を採録したものです。

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ジョブ型人事制度の必要性——「大企業なら一生安泰」はもはや通用せず

 2000年10月、KDDI株式会社はDDI・KDD・IDOの3社合併に伴って株式会社ディーディーアイとしてスタートを切り、2001年4月に現社名となった。2000年代以降は携帯電話事業を中心に業界をけん引した。現中期経営計画では、「5G時代に向けたイノベーションの創出」「通信とライフデザインの融合」「グローバル事業のさらなる拡大」「ビッグデータの活用」「金融事業の拡大」「グループとしての成長」「サステナビリティ」からなる“7つの事業戦略”に重きを置いている。

 さらに2020年7月に発表した新たな取り組みの中では「激変する環境に対応する経営基盤構築」のための「三位一体での改革」として、「社内DX」「KDDI版ジョブ型人事制度」「KDDI新働き方宣言」をうたっている。

「KDDI新働き方宣言は、コロナ禍でわれわれの働き方が劇的に変わっていく中で『時間や場所にとらわれず成果を出す働き方の実現』を強く意識して打ち出したものです。一方、KDDI版ジョブ型人事制度はコロナ禍とは関係がありません。2000年10月にKDDIとして再スタートを切ってからの21年間で築いた旧来の人事制度や年功型の人事制度を大幅に見直すべく、2年間検討を重ねてきました」

 そう話すのは、KDDI株式会社 執行役員 コーポレート統括本部 人事本部長の白岩徹氏。1991年第二電電株式会社(現KDDI)に入社。以降、支社・支店での直販営業、代理店営業、本社営業企画部、営業推進部、カスタマーサービス企画部長など営業・CS部門の経験を経て、2013年から人事部長、2016年から総務・人事本部副本部長、2019年 4月から現職を務めている。白岩氏は続ける。

「テクノロジーを使いこなしイノベーションや付加価値を生み出せる人財リソースがますます重要になっています。また人生100年時代に『大企業なら一生安泰』なんて考えはもはや通用せず、自ら生き抜く力を身に付けてもらわなければいけません。それら外部環境の変化はもとより、当社内部環境の変化として、2020年3月からいよいよ『au5G』が始まりました。持続的成長のためには国内通信事業にとどまらず、新規領域の拡充が必要です。KDDIの技術を用いた社外からのDXニーズも高まっています。高い専門性を持った多種多様な人財が必要であると考え、当社のジョブ型人事制度が始まりました」