世界初も制約が多く実効性に乏しい

 韓国では、自国のサムスン電子とLG電子製スマートフォンを利用している人が約75%に上る。グーグルのOS「Android」とアプリストア「Google Play」の利用者が圧倒的に多く、同社によるアプリ決済強制に対する批判が高まっている。こうしたことから、この韓国の新法は「グーグルパワハラ防止法」とも呼ばれている。

 アプリ決済システムの利用強制を禁止する法律は世界初だ。そして、アップルがアプリストア内で代替決済を認めればそれも世界初となる。

 ただ、グーグルやアップルが容認する代替決済を巡っては、「制約が多くて実効性に乏しく、米IT(情報技術)大手による独占を阻止することにはならないだろう」といった指摘もある。

 例えば、グーグルは「開発者はアプリ内に自社の決済システムを導入できるようになる」としているが、同社は「利用者が代替決済システムを選択した場合、開発者はグーグルに対し決済金額の11%を支払わなければならない」と条件を付けている。つまり、開発者が自社決済を用意したとしても、料率は低くなるが、手数料そのものを回避することはできない。

エピックCEO「外部決済に手数料徴収とは何ごとだ」

 グーグルやアップルと法廷闘争を繰り広げている米エピックゲームズのティム・スウィーニーCEO(最高経営責任者)は、今回のアップルに関する報道を受け、ツイッターへの投稿で「グーグルが最近発表したようなフェイクではないことを望む」とし、「決済手数料とは決済を処理した企業が受け取るものだ。プラットフォーム独占企業が、自社の関与しない商取引に対し手数料を徴収するとは何ごとだ」と批判している。

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