コロナ禍をきっかけに、アメリカではリテールDXが飛躍的に加速。Eコマースが拡大し、店舗コマースとのハイブリッド化が進んだ。SNSと販促を融合させたソーシャルコマースの成長も見逃せない。アメリカの最新事業戦略を研究し、日系企業の北米進出を支援してきた在米リテールストラテジストの平山幸江氏が、最新の事例を挙げながらDXトレンドの最前線を解説する。

※本コンテンツは、2021年11月17日に開催されたJBpress主催「第6回 DXフォーラム」の特別講演Ⅱ「米国リテール業界6つのDXトレンド」の内容を採録したものです。

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変化がチャンスを生む。アメリカの小売りの今

 コロナ禍で外出禁止を徹底したアメリカでは、Eコマース(EC)をはじめ、リテールDXが加速した。ワクチン接種が広がった現在、店舗に客足が戻る動きがある一方で、継続してオンラインでの購買をメインにする消費者も多い。在米リテールストラテジストの平山幸江氏は、そんなアメリカの小売りにおける消費動向には、6つの注目すべきトレンドがあると話す。

「小売り業者の視点で『ECのハイブリット化』『ラストマイル配送改革』『オペレーションの効率化』、消費者視点では『在宅経済』『サステナビリティ志向』『ソーシャルコマース』が、重要視されるトレンドです」

 これらの大きな背景として、ECへのシフトがある。アメリカ商務省データに基づくアメリカの小売りの販売総額におけるECの売上高シェアは、コロナ前の10.7%から、現在は15%と推計。2024年には20%に近付くとされている。

 また、ニューヨーク市の「回復度」を示す指標では、2021年8月末に全体で77となっており、100の「復活」には至っていない。特に地下鉄利用、レストラン利用など通勤外出が直接的に影響を及ぼす項目が低水準のままだ。