メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)ロゴ(写真:ロイター/アフロ)

 米メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)が米国で新たな訴訟問題に直面していると、米ウォール・ストリート・ジャーナル米CNBCが11月15日に報じた。

隠ぺいで株価上昇、メディア報道で株価下落

 自社のサービスが子供に与える影響について誤った情報を流し世間を欺いたとして、米オハイオ州の司法長官が同社を提訴した。

 同州のデーブ・ヨースト司法長官によると、訴訟はメタの投資家であるオハイオ州職員退職年金基金などを代表して提起された。

 メタが連邦証券法に違反したと主張しており、約1000億ドル(約11兆4200億円)の損害賠償と、投資家に再び誤った情報を与えることがないよう情報発信体制を改善するよう求めている。

 米国の議員や消費者保護団体などから批判を受けていたメタは2021年9月27日、13歳未満の児童を対象にした画像共有アプリ「インスタグラム」の開発を一時中断すると明らかにした。この児童向けインスタグラムを巡っては、21年3月ごろから米メディアの報道で開発が表面化し、子供への悪影響が問題視されていた。

 しかしメタの経営陣らは決算説明会などで、悪影響の問題を知りながら情報を故意に隠したという。その狙いは「株価つり上げと株主を欺くことにあった」と原告側は主張している。

 ヨースト司法長官は「フェイスブックは我々の子供を見守り、オンラインの有害情報を排除するとしていたが、現実に彼らが自らの利益のためにやったことは、不幸と対立を生み出したことだった」と述べている。

 同氏は訴状の中で、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの米メディアが21年9月中旬から報じたメタに関する一連の話題に触れ、「事実は明らかになった」と指摘している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは「The Facebook Files(フェイスブック・ファイル)」と題した一連の記事で、「インスタグラムが10代の女性を中心に若い利用者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす」といったメタ社内の調査結果内容を報じていた。

 ヨースト氏によると、事実の隠ぺいで株価が上昇し、その後のメディア報道で株価が下落した。「メタ株は54.08ドル下落し、オハイオ州職員退職年金基金などの投資家は計1000億ドル以上の損失を被った」(同氏)