アップル ロゴ イメージ(写真:ロイター/アフロ)

 米IT大手を念頭に置いた欧州連合(EU)のデジタル規制法案を巡り、アップルの幹部が自社アプリストア「App Store」の運営方法や管理体制を擁護したと米CNBCロイターなどが11月3日に報じた。

「サイドローディング」のリスク訴え反論

 アップルのソフトウエアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏がポルトガルのリスボンで開催された欧州最大級のテクノロジーカンファレンス「Web Summit(ウェブサミット)」に登壇し、現運営方法の安全性と法が成立した場合の危険性を訴えた。アップルの幹部が自社のプレゼンテーション以外の公の場でスピーチするのは珍しいと報じている。

 アップルが問題視しているのは「デジタル市場法(DMA)」。EUの欧州委員会が2021年12月に法案を公表した。自社製品・サービスの優遇などを禁じたり、企業買収の際の事前通知を義務化したりと、巨大IT企業よる競争阻害行為の抑止を狙っている。ロイターによるとEU理事会や欧州議会、加盟国の承認を経て23年にも法制化するとみられている。

  アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)も21年6月にこの法案に触れ、成立すれば、正規ストア以外からアプリをiPhoneなどにインストールする「サイドローディング」が可能になり、利用者が危険にさらされると指摘していた。

 アップルのフェデリギ上級副社長は今回、数千人の聴衆に向けて「欧州の政策立案者はしばしば時代の一歩先を行くが、サイドローディングを許せば一歩後退してしまう。パンドラの箱を開けるようなものだ」と訴えた。

 「ハッカーやネット詐欺師がApp Store以外でマルウエア(悪意にあるプログラム)をインストールさせることを許してしまう。ウイルスに感染した機器が1台でもあればネットワーク全体を脅かす。政府や公共インフラ、企業のコンピューターシステムも危険にさらされる」と主張した。