※本コンテンツは、2021年6月23日に開催されたJBpress主催「第9回DXフォーラム」のセッション2「はたらき場所改革 Slackで始めるこれからの働き方」の内容を採録したものです。

Slack Japan株式会社
マーケティング部・プロダクトマーケティング グループマネージャー
伊藤 哲志 氏

アフターコロナに向けて「企業が変えるべきもの」とは

 世界がコロナ禍に見舞われ、1年以上が経過しました。ビジネス領域においては、業務のデジタル化が進んだことによって働く場所の選択肢が多様になってきました。こうして企業のワークプレイスに対する自由度が増す中、経営者や業務変革担当者には、アフターコロナに向けて変えるべきものは何かが見えてきているのではないでしょうか。

 企業が変えるべきもの、それは「コミュニケーション」「システム」「企業文化」の三つに大別できます。これらはいずれも、古い価値観に束縛されていることに原因があります。まずは、 “古い価値観”から一刻も早く解放させなければいけません。それを実現するための解決策といえるのが「デジタルワークプレイス」です。当社は「メンバー同士をつなぐ」「パートナー同士をつなぐ」「システム同士をつなぐ」、デジタルワークプレイスとして「Slack」を開発・提供しています。

デジタルワークプレイスでできること

 デジタルワークプレイスの一例として「Slack」の機能をご説明します。Slackでは、テーマごとに会話を行う部屋(=チャンネル)が設けられています。チャンネルは全社アナウンス用のチャンネルや、ユーザーが所属する担当チームが会話できるチャンネルなど目的別に分けられており、その中で行われるコミュニケーションは、透明なガラス張りの会議室内のような状態です。

 全社員が見られる「パブリックチャンネル」とは別に、招待されたメンバーだけが見られる「プライベートチャンネル」があり、機密のやりとりはプライベートチャンネルで行います。オープンなコミュニケーションとクローズでセキュアなコミュニケーションを使い分けることができます。

 また、自社の特定チャンネルと、Slackを導入する社外パートナー(組織)の特定チャンネルを直接つなぐ機能「Slackコネクト」により、社外とのコミュニケーションにも活用できます。

時間・物理的制約、セクショナリズムからの解放

 一般的に「デジタルワークプレイス」導入の効果は、五つの課題からの解放に集約できます。

 まずは「①時間・物理的制約」「②セクショナリズム」からの解放(コミュニケーションの解放)です。デジタルワークプレイスでは、そこにアクセスすること、ログインすることが「出社すること」と同義になります。

 対面を伴う同期型のコミュニケーションでは「同じフロアの人としか顔を合わせたことがない」「別の部署の人となかなか会話する機会がない」ということも起こりがちでした。しかしデジタルワークプレイスでは、リモート環境下で物理的な距離を介していても、会ったことがない人同士でも、さらには時間軸が異なる非同期型の状態でも、“いつでも、どこからでも、誰とでも会える”状態にあります。つまり全ての社員が、多様な人材に気軽にリーチできる状態にあるわけです。

 それまで密室内で行われていたような社内会議も必要に応じてオープンにでき、過去の議事録を“別の部署の人間”が閲覧することも可能です。部署ごと・階層ごとに情報断絶されていた閉鎖的な組織からの脱却も図れます。

 デジタルワークプレイスはしばしば「メールとそれほど変わらないのでは?」と言われることがあります。しかしこう考えてみてください。例えば、従業員1万人規模の企業の場合、1人1日30通を送るとすれば、その企業の中には「30万通」のメールが“個人の送信ボックス”にためられている状態です。これではなかなかコミュニケーションの幅が広がりません。そうしたサイロ化されたコミュニケーションが発生しても、Slackの場合はチャンネルによって全てがオープンになり、コミュニケーションは格段に活発になるでしょう。

アナログワークからの解放

 次に「③アナログワーク」からの解放(システムの解放)です。近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が流行しており、実際にDXを進めている企業も少なくないでしょう。しかし、多くの場合その障壁となるのが印鑑での承認、あるいは紙の書類そのものやその保管といったアナログワークです。こうしたアナログワークがあるがゆえに「テレワークが導入できない」という声は、コロナ禍に行われたアンケート調査でも明らかになりました。

 企業がDXを確実に進めるためには、オンプレミスからクラウド環境下のSaaSへの移行が不可欠ですが、多くのサブスクリプション型SaaSには「導入しやすい」という利点がある半面、「社内にいろいろなアプリがあふれかえる」「管理しきれない」「アプリ同士の連携がしにくい」という難点があります。デジタルワークプレイスでは、このような観点からも導入するサービスを精査することが必要でしょう。

 Slackは、2500以上もの外部アプリケーションと連携可能です。Slackを、さまざまなクラウドアプリケーションと連動させ、業務プラットフォームとして活用することができます。チャンネル公開とアプリ連携で情報共有を活性化し、所要時間は削減・アウトプットは最大化することが可能になります。これこそデジタルワークプレイスの価値だといえます。

動きの遅い企業体質、古い企業文化からの解放

 最後は「④動きの遅い企業体質」「⑤古い企業文化」からの解放(企業文化の解放)です。デジタルワークプレイスの導入により、ここまで述べてきた「新しい働き方」「DX推進」を加速させようとしても、企業文化が古いままでは、それが足かせになります。

 特に日本の場合、高度成長期においては階層型組織が有効な組織体系と認識されていました。しかし、階層型組織は役割分担・指揮系統が明確なことから、通常業務・ルーティンワークに対応しやすい一方、今日のような変化の激しい時代では、柔軟な対応が難しいという弱点があります。アフターコロナを見据えた今の時代においては、社内外の組織・部門が有機的に連動・連携することで新しいことを成し遂げる「ネットワーク型組織」に変わる必要があります。

 デジタルワークプレイスは、こうした企業文化の変革にも効果を発揮します。当社もSlackを活用して完全リモートを実現しながら、ネットワーク型組織として機能しています。実は、私は昨年Slackに入社したのですが、一度も会社に行ったことがないのにもかかわらず、疎外感・孤独感を感じることなくパフォーマンスを保てています。

 デジタルワークプレイスは、どんな場所からでもコラボレーションを可能とし、リモートワークで障壁となりがちなアナログワークにも対応、同時にコミュニケーションやシステムの変革に必要な企業文化を育みます。「デジタルワークプレイスという新しい職場に仕事をしにいく」、そんな感覚でこれからの働き方を皆さんと再定義していきたいと考えています。

<PR>