◆新製品やモデルチェンジ製品を立ち上げるときの課題

 2つ目は新製品やモデルチェンジ製品の量産を行っていく、いわゆる量産立ち上げの問題だ。

 既存ラインや設備を用いながら、新製品やモデルチェンジ製品の量産を立ち上げる上での問題について整理しよう。

 タイ製造拠点の展開が進んでいるとはいえ、設計/開発部門は日本国内にある、という企業が多いのが現状である。試作までは日本国内で行い、量産試作、量産を現地で行うという企業が多いと思う。量産試作、量産立ち上げは日本人技術者が現地に出張して行うことも多く見受けられる。

 実際に起こる問題としては、量産試作、量産立ち上げを日本人の出張者が行い、量産を現地メンバーが行うときのつなぎが不足し、日本人技術者が現地で設備を操作し加工して良品を製造するが、その際の製造条件がしっかりと現地に引き継がれないということである。

 具体的には、NC加工機で使用するツール、プログラム、求められる精度を出すための条件設定、精度を確認する検査方法など、設定しなければならないことは多岐にわたるが、当初決めたものが量産段階で守られないということが起こる。

 このようになる原因は複数考えられる。日本人技術者(出張者)の条件設定の甘さ(単純な設定のみで、量産時の変動を加味していない)や、日本人技術者(出張者)と現地メンバーとのコミュニケーション不足、量産段階での現地メンバーのマネジメント不足などである。