株式会社日本能率協会コンサルティング
常務取締役
シニア・コンサルタント
富永 峰郎氏

※本コンテンツは、2021年5月25日に開催されたJBpress主催「第1回 経営企画イノベーション」の基調講演「経営企画部門の『X』~経営企画はトランスフォーメーションの担い手になれるか~」の内容を採録したものです。

「X」(トランスフォーメーション)には未来への明るい希望が含まれている

 日本能率協会コンサルティング(JMAC)は、オペレーション改革、戦略、収益改善、組織改革、人事制度・経営管理制度の構築など、多岐にわたる分野で年間およそ1000のコンサルティングプロジェクトに関わっています。研修・セミナーを合わせると2000にも及ぶプロジェクトを実行しています。

 私は1990年代からコンサルタントとして活動してきました。事業再生、組織改革、アジアを中心とした海外戦略を主なテーマにしており、クライアント側のカウンターパートは事業規模を問わず、経営企画部門になることが多いのです。そこで、今回はこれまでの経験を踏まえ、トランスフォーメーション時代における経営企画部門の果たすべき役割をお伝えしたいと思います。

 スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授はDXを「情報技術が、人々の生活のあらゆる面を、より良い方向に変化させる」ことだと定義しました。この定義から考えると、DXには「包括的に、明るい未来に向けて変えていこう」というポジティブな希望や展望が含まれていると思います。

 英語ではDigital Transformationと表記します。通常「trans-」の略称に「X」が用いられることから「DX」と書くのですが、私は下図のような絵でイメージしています。赤い矢印が黄色いボーダーを貫く。ボーダーを超える前後では内容・質が変容しています。