グーグルのニューヨークオフィス(写真:ロイター/アフロ)

 米ユタ州など米37州・地域の司法長官が米グーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴したと、米ニューヨーク・タイムズ米ウォールストリート・ジャーナルなどが7月7日に報じた。

グーグル「奇妙だ。訴訟は無意味」

 当局によるグーグルに対する反トラスト法訴訟は2020年10月以降4件目となるが、今回初めて同社のアプリストアを問題視した。ユタ州のほか、カリフォルニア州やニューヨーク州、ノースカロライナ州、テネシー州がなどが原告に加わり、カリフォルニア州の連邦地裁に提訴した。

 訴状によると、グーグルはOS「Android」搭載モバイル機器向けアプリの配信を独占した疑いがある。アプリ開発者との契約や技術的障壁などを通じて競争を阻害したと指摘。アプリ開発者に課している原則30%の手数料支払い義務によって、消費者への料金が割高になっているとも指摘。「グーグルはアプリ配信サービスを意のままに支配している」と批判している。

 グーグルは声明で「奇妙だ。訴訟は無意味」と反論している。「我々は、競合アプリストアからのAndroid端末へのダウンロードを認めており、他社のような制限を設けていない」と主張。韓国サムスン電子や、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピックゲームズに対してもAndroid内でそれぞれのアプリストアを運営することを認めているとしている。

 これに対し、司法長官らは「米国内のGoogle Playでは9割以上のAndroidアプリを配信している。5%以上のシェアを持つAndroidアプリストアは他にない」と指摘した。

検索と広告事業を問題視、過去3件の独禁訴訟

 前述した通り、グーグルはこれまでに米国で3件の反トラスト訴訟を提起されている。

 (1)20年10月20日、司法省が11州の司法長官とともにグーグルを提訴した。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この訴訟には後にカリフォルニア州などの3州が原告団に加わった。

 (2)20年12月16日、テキサス州など10州の司法長官がグーグルを提訴。

 (3)20年12月17日に、コロラド州など38州・地域の司法長官が同社を提訴した。

 1件目の司法省などによる訴訟では、「グーグルが検索サービスと検索広告市場で、非合法に独占力を維持し、反競争的かつ排他的な行為をした」と指摘。競合検索サービスの初期設定を禁じる独占契約をスマートフォンなどのモバイル端末やパソコンのメーカーと結んだり、ウェブブラウザー「Safari」などで自社の検索サービスを標準にするよう求める排他的な契約を米アップルと結んだりしたと批判している。