荷物でいっぱいのカートを引く、アマゾンの配達員(写真:ロイター/アフロ)

 米CNBCは6月21日、アマゾン・ドット・コムと契約している配達ドライバーが目まぐるしい忙しさで疲れ切っていると、報じた

1日の配達200軒、車内で用を足すことも

 アマゾンは2019年に、それまで翌々日が標準だった米国プライム会員向け配達期日を翌日に短縮した。それ以降、契約ドライバーは、毎日合計で2億個の荷物を翌日までに届けなければならなくなった。

 ミシガン州で勤務している女性ドライバーのシャリーン・ウィリアムズさんは1日10時間の勤務中に320個の荷物を199軒に配達したこともあったと話している。中にはトイレに行く時間もなく、車内でプラスチックのボトルに用を足す人もいる。誰かが前日に使ったトラックに乗ると、ボトルがシートの後ろやカップホルダーに置いてあり、とても不快に思うことがあるという。

 19年11月から20年7月までアマゾンのドライバーとして働いていたエイドリエン・ウィリアムズさんによると、多くのドライバーは、一時停止標識を無視したり、黄色信号を突破したりしている。予定通りに配達するためにはシートベルトの着脱時間も節約する。多くのドライバーは肩ベルトを背中に回してバックルを留めている状態だという。

 米国の非営利・独立系報道機関プロパブリカが19年に公表したリポートによると、同年までの4年間にアマゾンの契約ドライバーが関与した重傷事故は60件以上あり、うち死亡事故が10件以上あった。

2000人超が起業、ドライバー11.5万人超雇う

 アマゾンの契約ドライバーとは、同社のプログラムを通じて起業した宅配業者に勤務している人たちである。

 アマゾンは、物流大手のへ依存を減らす取り組みの一環として18年に宅配事業の起業支援プログラム「デリバリー・サービス・パートナー」を始めた。起業に必要な環境をアマゾンが用意するもので、アマゾンのロゴが入ったリース車両や制服、ガソリン、保険など、業務に必要なものを安価に提供している。運転手の研修プログラムや宅配情報システムへのアクセスも用意しているほか、事業に必要な様々なサービスも安価に提供している。