動画配信サービスの画面イメージ。写真は「ディズニー+」(写真:PA Images/アフロ)

 米国でメディア・エンターテインメント業界の再編が進む中、次の大規模M&A(合併・買収)の対象は有料放送局などを持つ映画製作・配給会社米ライオンズゲート・エンターテインメントになる可能性があると、米CNBCが5月29日に報じた。

巣ごもり消費で動画配信活況

 米アマゾン・ドット・コムは5月26日、米映画製作大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)を買収することで、最終合意に達したと明らかにした。人気スパイ映画「007」シリーズなどで知られるMGMを傘下に収め、動画配信事業で競争力を高める狙いだ。

 巣ごもり消費の拡大で動画配信が急成長する中、市場は競争が激化している。動画配信で首位の米ネットフリックスの会員数は2億人超。19年11月に本格サービスを開始した米ウォルト・ディズニーの「ディズニー+」の会員数は参入から約1年半で1億人を超えた。アマゾンのプライム会員数は2億人超で、20年に会員特典の動画サービス「プライムビデオ」を視聴した人は約1億7500万人に上ったとされる。

 こうした中、既存メディア大手も動画配信を開始、3強に対抗すべくシェア拡大への道を探っている。

ワーナーメディアとディスカバリーが事業統合

 5月17日には米通信大手AT&Tが、傘下のメディア事業であるワーナーメディアを分割し、同業大手の米ディスカバリーと経営統合することで合意したと発表した。

 AT&Tが分割する予定のワーナーメディアの前身はタイムワーナー。AT&Tは2016年にタイムワーナーを約850億ドル(約9兆3000億円)で買収すると発表した。米司法省が反トラスト法上の問題があるとして差し止めを求めて提訴したが、18年に米連邦地裁が買収を認め、同部門をワーナーメディアとして子会社にしたという経緯がある。

 ワーナーメディアは映画制作・配給などのワーナー・ブラザースやケーブルテレビ・衛星放送のニュースチャンネル「CNN」、ドラマチャンネル「HBO」を傘下に持つ。

 一方、ディスカバリーは、ケーブルテレビ・衛星放送の「ディスカバリーチャンネル」を持つ。ディスカバリーは17年に同業のスクリップス・ネットワークス・インタラクティブを買収した。

メディア再編のうねり

 米国のメディア・エンタメ業界は近年大きく様変わりした。例えばディズニーは19年に米21世紀フォックスの映画・テレビ部門を取得し、動画配信のHulu(フールー)も買収した。