投資信託(投信)の運用コストが低下傾向にあります。2019年5月にはニッセイアセットマネジメントがインデックス投信の<購入・換金手数料なし>シリーズ6本の信託報酬を下げました。それに追従する形で同年6月、三菱UFJ国際投信が「eMAXIS Slim」先進国株式インデックスの信託報酬を下げています。

 具体的には、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは年率(税抜き)0.0999%以内、eMAXIS Slim先進国株式インデックスもまったく同じ0.0999%以内(500億円以内の部分)となりました。年率0.1%を切ったのは、個人向けの公募投信では初めてのケースです。

 投資家にとってコスト低下はうれしい限りですが、「安かろう悪かろう」では意味がありません。資産運用における運用コストについて考えてみましょう。

投信にかかる5つのコスト

 個人の資産運用の中心となる投資信託において、投資家が負担するコストは次のとおりです。

(1)購入時手数料(販売手数料)
一般に販売手数料と呼ばれています。投信の購入時に、販売会社(証券会社や銀行)に支払う費用で、金額は投信の申込価額の0%~数%程度。投信や販売会社によってはこの費用がない場合(ノーロードと呼ぶ)もあります。

(2)運用管理費用(信託報酬)
一般に信託報酬と呼ばれています。投信を保有している間、保有額に応じて日々支払う費用です。報酬率(年率)は目論見書などに記載されています。投信調査の三菱アセット・ブレインズによると、年金専用投信を除く公募投信の平均信託報酬率は2018年末現在で年率1.233%。投資家が支払う信託報酬は、投信の委託会社(運用会社)と販売会社、受託会社(信託銀行)の3者で配分されます。