不動産賃貸、転居に伴う情報を企業間で連携する基盤を構築する

 積水ハウス、KDDI、日立製作所の3社は2019年4月、ブロックチェーン技術を用いた情報連携基盤を構築し共同検証に乗り出した。異業種の企業がそれぞれ保有する情報を安全に共有する仕組みを確立し、各社の顧客にとってより利便性が高いサービスの創出に生かす狙い。

 第1弾として4月から5月までの2カ月間、賃貸不動産の内覧申し込みから入居までに発生する業務処理を想定した検証を行う。本人確認や申し込みなどの情報をブロックチェーンに書き込み、積水ハウスとKDDIとの間で連携することで、引っ越しにかかわるさまざまな手続きを簡略化できるかどうかを確かめる。

 3社は第1弾の検証後、金融や自治体など幅広く参加企業・団体を募ってコンソーシアムを形成する計画だ。それにより、情報連携基盤を活用する手続きの多様化や、ブロックチェーンに書き込まれた情報に対する柔軟なアクセス制御の確立など、検証内容を広げていく。最終的に、コンソーシアムに参画する企業・団体と、サービスを利用する顧客の双方にメリットがある基盤に仕上げたうえで商用化を目指す。

一連の手続きをワンストップで提供可能に

 賃貸不動産の取引は煩雑さを極める。顧客は不動産の賃貸借契約を結ぶだけでなく、入居に際して電気・ガス・水道・電話、火災保険の契約などを個別に行う必要がある。さらに、携帯電話、銀行、クレジットカード会社などへ住所変更を届け出るなど、転居にともなって数々の手続きが発生する。3社が検証する情報連携基盤は、こうした一連の手続きをワンストップで提供しようとするものだ(図)。

積水ハウス、KDDI、日立製作所の3社が目指す情報連携基盤のイメージ(プレスリリースより)
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