自動車で移動をしていて、都心部で困るのは駐車場だ。目的の場所の近くに時間貸しの駐車場があっても、満車では入れることができない。しかし、時間貸し駐車場の場所は検索して見つけることはできても、その駐車場が満車かどうかをリアルタイムで知ることはこれまでなかなかできなかった。もし、行き先近くの駐車場の空き状況や、スペースを事前に予約したりできたらどんなに便利か……。

三井のリパークの「toppi!」は、この課題をIoTを用いて解決を目指すソリューションだ。エスキュービズムの駐車場IoTソリューション「eCoPA(エコパ)」の予約システムを採用し、住宅や店舗などにおいて空いている駐車スペースの貸し出しを行う。

遊休スペース活用で、ホスト側もうれしい「toppi!」

「toppi!」は借りる側だけではなく、スペースを貸し出すホスト側にとってもうれしいサービスとなっている。普段、遊休スペースになっている土地の一部分を、予約専用駐車場として手軽に活用できるからだ。

「toppi!」のサービスフロー図

「IoT」と「AI」でダイナミックプライシングが可能に

「eCoPA」の開発に携わった、エスキュービズムの細田 謙二氏(以下、細田氏)に話を伺う機会があったので、開発に関わる話や今後の展望などについて聞いてみた。

エスキュービズム開発本部 細田氏

—現在の開発状況は?
「今は予約した車両がちゃんと来たか確認するところを、ナンバープレートで認識できるように、画像認識技術などを使って開発を進めています」

—開発を行う際に最も苦労した点は?
「実運用した時に初めて直面する、ナンバー読み取りができないなどのイレギュラーケースへの対応です。ソフトウェアに比べてそういったテストがしづらく、センサー、カメラ、CPU、アプリなど、技術の構成要素が多かったので、その点で苦労しました」

IoTの開発ではソフトウェアの技術者とハードウェアの技術者のコミュニケーションで苦労するという声を多く耳にするが、今回の開発ではスムースに事が進んだようだ。

「もともとソフトウェアの技術力が高く、さらにハードウェアの知識もある4〜5人でチーム編成を行いました。ハッカソンなどを催し、基礎のキャッチアップおよびエンジニア間の交流をはかったおかげで、あまりコミュニケーションで齟齬はありませんでした」

—今後はどのようなことが出来るようになりますか。
「『eCoPA』で1番やりたいのはダイナミックプライシングですね。混んでいる時はプライシングを高くして、空いている時は安くする。例えば、コンサートなどのイベント時は駐車場が混むので、そういう時は値段を高くする。混雑状況が予測できれば、プライシングもしっかりできるので、AIと絡めてその辺りを研究中です」

「eCoPA」の「IoT」技術では稼働率アップも

「toppi!」で技術提供しているエスキュービズムの「eCoPA」では、IoT技術を用いてフラップ板をロックするなどの遠隔操作を行えば、ある時は時間貸しコインパーキングとして、ある時は予約専用駐車場としての運用を行い、稼働率をアップさせる二毛作が可能だ。

世界と比較するとシェアリングサービスに対する認知度や普及率の低い日本。身近な煩わしさを解消してくれる駐車場シェアリングサービスが、日本における“シェアリングサービス”全体を広めるきっかけになるかもしれない。